Cocco、通算6枚目の新作。

初めての沖縄録音で、それも正式のスタジオではなく、古民家を改装した臨時スタジオを使ったらしい。ま、それ自体はよくあることだが、そのせいか、音はすみからすみまで手作り〜という感じが出ていて、心地良い。こういう音の録りかたをすると、アコースティックギターというのは、猛烈に存在感を増し、魅力的になるな〜。もちろんそれが狙いなんだろうけど。
アルバムとしては特に目立つ作品じゃない。ロック、ポップ、ジャズ、カントリー、沖縄音楽などが程よくミックスされて、良質のポップアルバムというのが、おそらく一般的な評価だと思う。突出した曲もないしね。肩の力が抜けたというか、よけいな力が入っていないという印象で、それが帰って力強さを感じるアルバムなんですな。
最近のCoccoのスタンスを、ぼくは凄く気に入ってる。理論や駆け引きなんかじゃなく、誰にでも分ることを正々堂々と言っているのだ。堂々と正しいことを言うというのは、凄く勇気がいるし、恥ずかしくもあるんだが、よけいな力を入れずにそれを言う彼女は美しい。
先日毎日新聞に載っていたインタビューで彼女は、故郷・沖縄の米軍基地のことを、早く無くしたいけど、基地で働いて収入を得ている何万人もの沖縄の人たちのことを考えると、どっちが正しいかなんてことは言えない。とっても複雑だ。でもひとつだけ絶対に言えることは、ジュゴンの住む海だけは絶対に守らなければならない。というようなことを語っていた。これって、それぞれの立場から国際関係、経済問題、いろんなことが交じり合って結論なんか出せない沖縄の基地問題だけど、でもこれだけは立場や地位なんか関係なくやらなくっちゃという彼女のスタンスを表していて、説得力があった。
そんなCoccoが毎日新聞に連載していたエッセイが、この度単行本化された。『想い事。』(毎日新聞社刊)。連載中、ぼくはほんとに楽しく読み、そして考えさせられた。遥か年下の彼女に教えられたというのを白状するのも癪だが、これはいいです。とにかく、彼女のスタンスは、実は、今の殺伐とした社会に必要なものなのだ。みんながそうあってくれたらと、願い想う事なのだ。